同一視、投射、合理化、補償とは?





5.同一視


 他のものと、自分とを、同じモノと考え、そのことによって、優越感や安定感をえようとすること。例えば、野球のフ  ァンが、自分の応援するチームの勝利で、満足したり、または自分がいるグループに優秀な人がいることによっ   て、自分が他の人に優越感を感じたりすること。
 この同一視は、人格形成において果たす役割は大きいとされる。社会的、道徳的に望ましくない人や集団との同  一視は、不適応をまねく。

6.投射


 自分の中にある好ましくない欲求や欠点等を他人にうつしかえて、まるで、それをその人がもっているかのように   その人を非難し、それによって安定をえようとすること。例えば、ある人に敵意をもっていながら、自分はその敵  意をもっていないと思い込み、その人が、自分を憎んでいるんだと思い込むこと。この投射が、極端になると、自  分の失敗を、他人のわなだと、妄想してしまう。

7.合理化

 自分の失敗や満たされない欲求をもっともらしい理由をつけて、正当化し、精神の安定を保とうとすること。例え  ば、自分の不勉強のために試験に失敗したにもかかわらず、出題が適切でなかったからだとか、採点が不公平  だったとか、もっともらしい理屈をつけて、自己弁護すること。  または自分が到達することができない目標が高すぎだとか、別に今のままでいっかと、自分の現在の状況に甘  んじようとする場合。

8.補償


 自分に、無能力感、劣等感を覚えた時、その悩みを解消しようとして、他の能力や性質を強調することで、自分  の欠陥を隠し、精神的安定を保とうとする作用である。例えば、身体的能力に悩む子供が、学業において、他よ  り勝とうと努力する等である。
 補償は、よい結果をもたらす時もあるが、行き過ぎると、かえってストレスを高め、病的な行動をうんだり、偏った  人格形成をすることがある。これを過補償という。また、補償がおこなわれる、方向によっては、非行や犯罪など   が現れることがある。



反動形成、置換、昇華とは?に続く